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「昔は学生同士で採血しあったもんだよ。」とよく聞きますが、現在は人へ侵襲のある行為は看護師免許取得後しか実施することができません。そのため、病院へ就職後に初めて人に針を刺すことになります。私は、採血や点滴の針を刺すことが苦手でした。その理由と克服した話をしようと思います。
採血と点滴が苦手な理由
私は、幼いころから知人のお見舞いで点滴の留置針を見るだけで吐き気やめまいを催してしまうような子でした。その理由は、
「異物が体の中に入るのが生理的に気持ちが悪いから。」
針が留置されているのを見るのも、刺すのも生理的に受け付けませんでした。それは、看護学生時代も、看護師になりたての時も変わりませんでした。新人看護師の時は、初めて病棟に行ったオリエンテーションで、たくさんの点滴につながられている患者さんをみて倒れました。血圧が低くなって頭に血が上らなく、自分でも血の気が引いているのを感じながら視界が真っ白くなって倒れたのを覚えています。
なぜ生理的に気持ちが悪くなってしまうのか
針が体に侵入するのを気持ち悪く感じる人の原因は3つあると思います。
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生物学的反応:皮膚は角質でおおわれているため、傷がつかない限り微生物が皮膚から体内に侵入することはありません。そうして、人は外部からの侵入を防ぐために進化してきました。針が体に刺さることは、本能的に危険と認識され、不快感を引き起こします。
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過去の経験:過去に痛みや不快感を伴う注射や採血を経験したことがあると、それがトラウマとなり、針に対する不快感や恐怖心が強まります。
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心理的要因:針が体に刺さることは、不安や恐怖を引き起こします。心理的な要因も、気持ち悪さを増幅させる要因となります。
私の場合は、特にトラウマはなくただ単に「異物が体のなかに入るのが気持ち悪いから」という理由のため、生物学的反応なのだろうと思います。
完全に迷走神経反射だった
新人看護師で緊張感が増していたことやそもそも針を人体に刺すという行為が生理的に気持ち悪いと感じ、低血圧になるのは完全に‘’迷走神経反射‘’だったなぁと思います。
迷走神経反射とは、副交感神経である迷走神経が何らかの原因で優位に働いてしまうことを指します。迷走神経は、胃や心臓の動きにも関わる神経のため、吐き気や血圧低下を引き起こします。心臓の動きが緩やかになることで血圧が低下し、十分な血液が脳に行き届かなくなることでめまいや時には失神を引き起こすなどの症状が現れます。
原因としては、疲労・睡眠不足・ストレス・恐怖・長時間の立位などがあります。
迷走神経反射の対処法
迷走神経反射が出たときは対症療法しかありません。十分な休息をとることやリラックスをすること、血圧低下時には横になりましょう。
私も病棟で倒れたときは、休憩室へ運ばれて横にならせてもらいました。先輩がマンシェットをもってきて血圧を測ったときは、血圧が70台でした。そりゃぁ倒れるよね、という血圧の低さで驚きました。しかし、しばらく横になっていると血圧が戻ってきて再び病棟に戻ることができました。その日は、なるべく針を見ないようにして過ごしました(笑)
現在の私、迷走神経反射は起こらない
入職して3か月が経つ頃には、針をみて迷走神経反射が起こることはありませんでした。あれだけ他人に針を刺すことも苦手だったのに、苦手意識もなくなっていました。
それは、あまりにも業務が忙しかったからだと思います。針を刺すことに戸惑っているとどんどんその先の業務が遅れてしまい、詰みます。だから、戸惑っている時間の余裕なんてなかったのです。そして、私が戸惑えば戸惑うほど、患者さんに必要な点滴の投与が遅れ、治療が進みません。さらに、何度も刺しなおすのは患者さんにとっても苦痛です。それに気が付いた時には必死で「早く的確に刺さないと!」という気持ちが先行し、針を他人に刺すのが生理的に気持ちが悪いと思わなくなりました。そんな風に仕事をしていると、時間に余裕がある時でも生理的に気持ちが悪いとも思わなくなったので慣れってすごいです。
苦手意識があっても何とかなる
「迷走神経反射がおこってしまう私は、看護師向いてない、、、、」とかなりコンプレックスを感じていました。でも、「患者さんのために!」と思う気持ちで一生懸命に仕事をしていたら迷走神経反射が起きなくなりました。私の迷走神経反射は精神的な要因が強かったからだと思います。苦手なことでも時間が経てば慣れることもあるし、考え方も変わるんだなぁと思いました。「自分は看護師に向いていないな」と思っていても案外何とか看護師として働けています。なんなら、採血も点滴の針を刺すことも好きになれました!(患者さんのためになる手技だから)