独り言

「昔はもっと怖い先輩がいた」っていう武勇伝【看護師】

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看護師の端くれが普段考えていることを書きました。

経験年数が多くなるにつれて、自分が新人看護師だったときの記憶が曖昧になっているように感じる。それは、自分が新人だった時と今とでは自分のスキルも違うし、スタッフのメンバーも入れ替わっているから全く異なる状況となってしまっているからだと思う。

「昔はもっと怖い先輩がいた。」と先輩からよく聞かされて新人時代を過ごしてきた。令和となり、パワハラ問題や新人の離職率の高さからあまりキツイ態度で指導をする人は年々少なくなっているのかもしれない。かく言う私も、「数年前と比べて怖い先輩はいないよ」と後輩に言ってしまう。そんなことを言われた新人は「昔話をされても今は今でしょ。」と思うに違いないし、昔の大変さと今の大変さは環境が異なるがゆえに別ものであると思う。だから、そんなことを言っても無意味。それでも、緊張している新人看護師を見ると安心させたいから「怖い人は少なくなった」と言ってしまう。怖い先輩と渡り合ってきた武勇伝のように聞こえていないかと私は心配になってしまう。それは、「昔はもっとこわいひとがいた。だからみんな必死になって仕事をしていた。」と私が新人の時に先輩から聞かされた時は、武勇伝のように感じてしまっていたからだ。今思えば、もっと安心して仕事をしていいよって先輩も思って言っていたのかもしれない(し、単に武勇伝だったのかもしれない)。

このように、自分たちはいかに(今の新人よりも)辛い時期を過ごし乗り越えてきたんだと、時間経過によって自分たちが過ごした時間はどんどん過大評価されるようだ。今の新人には今の新人なりの辛さがあるはずである。その視点を忘れがち。それに、先輩のいう昔の威圧的な指導が正しいわけではないと思う。今の時代にあった指導(もっと言えばその子にあった指導)や今の新人が何に悩んでいるのかその新人の目線に立って考え、その子が抱える問題を解決できるように介入する姿勢が先輩には必要であると思う。だから、「昔は怖い先輩がいた。もっと必死になって頑張っていた。」なんて言う、先輩目線の声掛けは無効だろう。


新人の目線に立てない人は大抵、新人に求めるスキルが高すぎる傾向にある。新人は、最近看護師免許を取得しただけのド素人。何もできないのが当然であるのにも関わらず、「これができていない」「先輩に頼りすぎ」などと小言を言いながらイラついている。いくら要領のいい子であっても、看護師の業務をはじめからてきぱきとこなしている新人看護師は見たことがない。だから、イラついている先輩も新人の頃は何もできなくて周囲に迷惑をかけていたに違いないのに、自分が先輩になり迷惑を掛けられる側になるとそれは許せないことらしい。

大体、勤務中にイライラしている人は周囲に期待しすぎだと思う。初めから期待しなければそんなにイラつくこともないのに、期待していまうから現実とそのギャップで精神が揺らいでイラついてしまう。イラつけば、新人看護師も委縮して十分なパフォーマンスができない。そして、さらに先輩がイラつくという負のループ。

だから私は、「昔はもっと怖い先輩がいた」と言いたくないし、後輩に期待しない。


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@07
集中治療室で働く20代看護師です。看護や医療についての情報を医療者や医療者じゃない人にも発信していきます。